2022.03.12

ビザ・在留資格

在留資格とは?資格が認める活動や在留期間を一覧形式で解説

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外国人を雇用する場合には、適切な在留資格を持っている必要があります。「就労可能な在留資格」は20種類に分けられ、それぞれに認められる活動内容が異なります。ここでは、在留資格の種類や対象となる活動を一覧で解説するとともに、パターン別の申請の流れを紹介します。

そもそも在留資格とは?

在留資格とは、外国人が日本国内に滞在することを許可する資格です。家族関係や職業などに応じて複数の種類があり、それぞれの在留資格によって、国内で行える仕事内容や活動が定められています。

在留資格は大別すると、「活動内容に基づいて発行されるもの(就労や留学等)」と「家族関係や国籍によって発行されるもの(永住者、日本人の配偶者等)」があります。さらに活動内容に基づいて発行される在留資格では、日本国内での就労が許可されているものとされていないものがあります。

外国人を自社で雇用する場合は、まず就労が許可される在留資格を本人が有しているかを確認する必要があります。さらに、在留資格の種類によって、就労可能な職種・仕事内容の範囲が異なる点に注意しなければなりません。

異なる在留資格を同時に保有することはできないため、もし雇用予定の外国人が、既存の在留資格では認められない活動に従事する場合は、法務省の出入国在留管理庁の手続きに従い、新たな在留資格に切り替える必要があります。

ビザ(査証)との違い

外国人の入国・滞在手続きで間違えやすいのが「在留資格」と「ビザ(査証)」です。日常的には「就労ビザ」という呼び方で「就労可能な在留資格」を指すこともありますが、法的な意味ではビザは在留資格とは別のものです。

ビザとは、国が自国民以外について「パスポートが有効であること」および「この人を日本に入国させても問題がない」と証明するもので、入国のための推薦状のような働きをします。

外国人が日本の就労ビザを取得する場合、海外の日本大使館や領事館が発行手続きを担い、渡航予定の外国人が取得をします。

ビザを取得する条件や必要となるケースは、在留資格とは別に定められています。

“US visa, vintage map and passport background”

在留資格で認められていない活動を行うには?

在留資格で許可されている以外の活動を、日本国内で行うことは原則として認められていません。たとえば、就労が認められていない「短期滞在」の在留資格を持っている人が、アルバイトをした場合は不法就労として罰せられます。

しかし、留学中の外国人が滞在費や学費の補助のために「アルバイトをしたい」というケースもあります。経験を積むために有給のインターンシップに参加するかもしれません。このように在留資格では認められていない活動を行うには、「資格外活動許可」を得る必要があります。

資格外活動許可を取得すると、留学や家族滞在のように就労が原則禁止されている在留資格でも働けるようになります。就労が許可されるのは週28時間の上限までです。また、大学教授として働く人が民間企業でも務めるというように、既存の在留資格で許可される範囲以外の仕事に従事することも可能です。

参考:資格外活動許可|出入国在留管理庁

中長期滞在者には在留カードが交付される

在留資格以外に、外国人にとって重要なのが「在留カード」です。短期滞在の外国人を除き、日本国内に滞在する人には在留カードが交付されます。在留カードは、国内の滞在資格を証明するとともに、外国人の身分証明書としての役割を持っています。

在留カードの交付対象となる「中長期滞在者」とは、以下のいずれにも当てはまらない人を指します。

(1) 「3月」以下の在留期間が決定された人

(2) 「短期滞在」の在留資格が決定された人

(3) 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人

(4) (1)から(3)の外国人に準じるものとして法務省令で定める人 (注1)

(5) 特別永住者

(6) 在留資格を有しない人

参考:「新しい在留管理制度」の対象となる人たちは?|出入国在留管理庁

在留カードには、滞在期間や許可されている活動内容など、最新の在留資格の情報が記載されています。アルバイト就労が可能であることを証明する資格外活動許可の有無も、在留カードで確認することができます。

在留資格の種類とは?一覧で紹介!

2022年2月現在、在留資格には29の種類があります。以下に「就労が認められるもの」と「就労が認められないもの」「身分や地位にもとづくもの」の3つに分けて紹介します。

就労が認められる在留資格一覧

就労が認められる在留資格は全部で20種類あります。外交官や大学教授、海外報道機関の記者など、日本国内で行う活動によって、取得するべき在留資格が異なります。

日本企業に雇用される外国人が多く申請するのが、エンジニアやデザイナー、通訳といった専門知識を有する職種に認められる「技能・人文知識・国際業務」です。企業は外国人を雇用する前に、従事する予定の仕事内容がどの在留資格に当てはまるのか、きちんと確認する必要があります。

「特定活動」の在留資格は、法務大臣が個々の外国人に対して特定の活動を許可する性質のため、「特定活動(ワーキングホリデー)」や「特定活動(インターンシップ)」など、同じ在留資格名でも認められている活動が異なります。

 種類対象となる人許可される在留期間
1外交外国政府の大使、公使、代表団構成員やその家族外交活動を行う期間
2公用外国政府の大使館や領事館の職員や、国際機関から派遣される者、およびその家族5年、3年、1年、3か月、30日、15日
3教授大学や高等専門学校などの大学教授5年、3年、1年、3か月
4芸術画家、作曲家等(収入と伴う活動であること)5年、3年、1年、3か月
5宗教海外の宗教団体から派遣される宣教師5年、3年、1年、3か月
6報道海外の報道機関の記者やカメラマン5年、3年、1年、3か月
7高度専門職「高度人材ポイント制」で認められた外国人。複合的な活動が許可される5年、または無期限
8経営・管理企業の経営者や取締役等5年、3年、1年、6か月、4か月、3か月
9法律・会計業務弁護士、公認会計士5年、3年、1年、3か月
10医療医師、歯科医師、看護師5年、3年、1年、3か月
11研究政府や企業の研究者5年、3年、1年、3か月
12教育中学校、高校の語学教師等5年、3年、1年、3か月
13技術・人文知識・国際業務民間企業で働くエンジニア、技術者、デザイナー、マーケター、経理、通訳など5年、3年、1年、3か月
14企業内転筋海外の事業所や親会社からの転勤5年、3年、1年、3か月
15介護介護福祉士5年、3年、1年、3か月
16興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等3年、1年、6か月、3か月、15日
17技能調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属の加工職人など5年、3年、1年、3か月
18特定技能特定の産業分野で相当程度の知識や経験を要する仕事に従事する外国人1年、6か月、4か月
19技能実習技能実習生1年または2年(法務大臣が指定する期間)
20特定活動ワーキングホリデー、インターンシップ等5年、3年、1年、6か月、3か月または法務大臣が個々に指定する機関

参考:在留資格一覧表|出入国在留管理庁

就労が認められない在留資格一覧

ここで紹介する5つの在留資格では、原則として就労が認められません。ただし、資格外活動許可を取得することで、週28時間までの就労が可能になります。

また、2020年12月1日からは、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、コロナ禍で帰国ができない場合は、短期滞在の在留資格でも資格外活動許可の申請が認められています。

参考:コロナ禍で帰国することができず,本邦での生計維持が困難であるため,就労(アルバイト)を希望する方へ

 種類対象となる人許可される在留期間
1文化活動日本文化の研究者(収入を問わない研究活動)3年、1年、6か月、3か月
2短期滞在観光、親族訪問、会議への参加90日、30日、15日
3留学大学、短大、専門学校、高校、中学、小学校の生徒法務大臣が個々に指定する期間で、4年3か月を超えない範囲
4研修研修生1年、6か月、3か月
5家族滞在在留外国人が扶養する配偶者・子法務大臣が個々に指定する範囲で5年を超えない期間

参考:在留資格一覧表|出入国在留管理庁

身分や地位に基づく在留資格一覧

日本人の配偶者や永住者など、家族関係や身分によって許可される在留資格では、就労制限はありません。そのため、アルバイトや正社員といった雇用形態のほか、幅広い仕事の領域で就労が認められています。

 種類対象となる人許可される在留期間
1永住者法務大臣から永住の許可を受けた者無期限
2日本人の配偶者日本人の配偶者、子、特別養子5年、3年、1年、6か月
3永住者の配偶者永住者・特別永住者の配偶者、日本で生まれ引き続き滞在している子5年、3年、1年、6か月
4定住者第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人5年、3年、1年、6か月、または法務大臣が個々に指定する期間で5年を超えない範囲

参考:在留資格一覧表|出入国在留管理庁

【ケース別】在留資格の取得方法とは?

在留資格を取得する方法は、申請する本人が海外にいる場合と、すでに日本国内に滞在している場合とで異なります。それぞれについてご説明します。

外国人が海外在住の場合

雇用予定の外国人が海外に住んでいる場合、まずは企業が地方入国管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。手続きによって、外国人が国内で活動する内容が在留資格に適していると認められた場合、在留資格認定証明書が交付されます。

申請にあたっては、取得予定の在留資格にあわせて、本人の職歴や学歴を証明する書類の提出が求められます。不明な点は行政書士や在留資格の取得サポートを行う企業に相談するのがいいでしょう。

在留資格認定証明書を取得後、雇用予定の本人に送付します。本人は、証明書を持参のうえ、居住地にある日本公館で査証(ビザ)の申請を行います。査証が発行されると、外国人が日本に渡航できるようになります。在留資格認定証明書、ビザ、パスポートを持って入国したあと、空港で在留カードが本人に渡されます。

参考:在留資格認定証明書交付申請|出入国在留管理庁

外国人が日本在住の場合

雇用する予定の外国人がすでに国内にいる場合は、「在留カードを持っていない」「在留カードを持っているが適切な在留資格がない」「働ける適切な在留資格がある」の3つのパターンに分かれます。それぞれご紹介します。

・在留カードを持っていない場合

滞在時間が3か月以内の場合や短期滞在の在留資格で国内に滞在し、本人が在留カードを持っていない場合は、外国人が海外在住のケースと同様に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

・在留カードはあるが、適切な在留資格がない場合

中長期の滞在で在留カードを持っていても、取得している在留資格が就労に適したものとは限りません。予定している仕事内容と、在留資格で許可されている活動が合致しない場合は、「在留資格変更許可申請」を行い、適切な在留資格に切り替える必要があります。

この際、在留資格認定証明書交付申請と同様に、本人が在留資格の取得要件に満たしていることを証明する書類の提出が求められます。

参考:在留資格変更許可申請|出入国在留管理庁

・適切な在留資格があるが、期間の満了日まで3か月を切っている場合

すぐに仕事を始められる、適切な在留資格を持っている場合でも、注意が必要です。在留資格の期限が残り3か月を切っていれば、「在留期間更新許可申請」を行いましょう。

いったん在留資格の期限が切れてしまうと、不法残留となり、雇用している会社も処罰の対象となります。在留期間更新許可申請を行う期限は、所有している在留期間が切れる以前とされていますが、直前に申請すると書類不備等で受理されない恐れもあります。

申請自体が、在留期間の切れる3か月前から可能なため、早めの申請を行うよう、会社としてサポートしましょう。

参考:在留期間更新許可申請|出入国在留管理庁

適切な在留資格で外国人を雇用しよう

在留資格にはさまざま種類があります。外国人を自社で雇用する際は、仕事内容に適した在留資格を持っているかどうかを確認し、もし在留資格の切り替えや取得が必要な場合は、余裕をもって準備する必要があります。

申請する在留資格によって、取得要件が異なります。万が一、書類に不備があると不許可となり、就労開始予定日に間に合わない可能性も出てきます。在留資格の基本を理解したい場合や、適した在留資格の種類や取得要件について詳しく知りたい場合は、行政書士などの専門家や在留資格の取得代行サービスに頼ってみるといいでしょう。